新刊案内

11月は、かなりたくさんの本が出たようです。中には自分と年齢が近い人たちが書かれた本もあり、自分も頑張らなくてはと思いました。 谷口由希子『児童養護施設の子どもたちの生活過程―子どもたちはなぜ排除状態から抜け出せないのか― 』明石書店,2011.11 ○内容 本研究では、児童養護施設における長期的なフィールドワークを通して、施設で暮らす子どもとともに生活を形成する援助実践者の日常を描いていく。なぜ、子ども時代に社会福祉の介入があるにもかかわらず、退所後には再び排除の状態におかれるのか。子どもは、自身の状態像をどのように捉え、社会のなかで援助者とともにいかにして生活を立て直していくのだろうか。子どもは、どのような将来展望をもっているのだろうか。子ども自身に直接話を聞くと同時に子どもたちの生活過程を動態的に捉え、子どもと援助者との相互作用を参与観察し分析する。 ○目次 序章 研究目的および研究枠組み 第1章 実証的研究の方法 第2章 児童養護施設における「脱出」過程の包括的分類 第3章 施設の入所局面および退所局面 第4章 施設での生活過程 第5章 施設で生活する子どもと援助組織 終章 児童養護施設を基点とした脱出 補章 イギリスにおける社会的排除への対応策―要養護児童への政策および援助実践 ○著者略歴 谷口 由希子 1979年生まれ。2004年中京大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。2011年日本福祉大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程修了。博士(社会福祉学)。2005年から日本福祉大学21世紀COEプログラムCOE研究員を経て日本福祉大学福祉社会開発研究所研究員。日本福祉大学非常勤講師。専攻は社会福祉学、子ども家庭福祉。社会福祉士。 コメント:同い年。日本福祉大学大学院博士後期課程修了。
エスタ・エスピン=アンデルセン大沢真理 監訳)『平等と効率の福祉革命――新しい女性の役割』岩波書店,2011.11 ○内容 ほとんどの先進国で所得格差が拡大するなか、キャリアを追求する男女の平等化は進んだ。しかし、高学歴の女性たちがジェンダー平等化の先頭に立ついっぽう、従来通りの性別分業を続ける人びともいる。学歴の似た者同士が結婚するようになった結果、社会が二極化する恐れがある。二極化はさらなる少子高齢化を招き、次世代を育てる上での不平等にもつながる。比較福祉レジーム論の第一人者による、平等と効率の同時達成にむけた、具体的な提言の書。日本の状況についての本格的な解題を付す。 ○目次 序論 第1部(女性の役割の革命と家族 新しい不平等) 第2部(家族政策を女性の革命に適応させる 子どもに投資しライフチャンスを平等にする 高齢化と衡平)
ジョン E・B・マイヤース(庄司順一ほか訳)『アメリカの子ども保護の歴史―虐待防止のための改革と提言― (明石ライブラリー147) 』明石書店,2011.11 ○内容 植民地時代から21世紀までのアメリカの虐待対応の歴史。虐待の原因とそれへの対応、成果、課題を明らかにし、今後、どのような改革が必要なのかを提言する。 ○目次 第1部 これまでの歩み―アメリカの子ども保護の歴史(植民地時代から1875年まで 子ども虐待防止協会 1900年から1962年までの子ども保護 1962年から現在までの子ども保護 子どもの性的虐待) 第2部 これからの歩み―子ども保護の現在と未来(子ども虐待とネグレクトの発生要因 虐待とネグレクトを減らすためには 子ども保護システムの改革)
堅田香緒里ほか『ベーシックインカムジェンダー―生きづらさからの解放に向けて』現代書館,2011.11 ○内容 私たちの望むものは多様な生を保障する公正な社会。ベーシックインカムは、性別役割分業と家父長制に縛られ、制度によって選別される暮らし方・生き方からの解放をもたらすか。 ○目次 第1部 ベーシックインカムジェンダー現代社会における女の位置付けとベーシックインカム(現代社会における女の位置付け 女にとってのベーシックインカム ベーシックインカムは、女にとっての「解放料」か「口止め料」か?) 第2部 様々な「おんな」の立場から―ベーシックインカムを語る(女性労働問題の課題と展望 社会活動と「食っていくこと」のはざまで 自由と自律~ベーシックインカムをめぐって―シングルマザー、サバイバーの立場から 暮らし方・生き方モデルを示す制度にNo!―私が私の暮らしを生きる権利を阻害させないためのベーシックインカム ほか) 第3部 座談会ベーシックインカムは家父長制を打ち破れるか
圷洋一ほか『社会政策の視点: 現代社会と福祉を考える』法律文化社,2011.11 ○内容 社会政策を批判的に検討するための視座を説き、考える力を養成する。ルース・リスターによる序文も掲載。社会福祉士養成科目に対応。 ○目次 社会政策の捉え方(1)―「視点」としての社会政策、主体・客体 社会政策の捉え方(2)―資源・空間・方法 社会政策プログラムの概要(1)―雇用保障と所得保障 社会政策プログラムの概要(2)―健康保障と自立保障 社会政策の空間(1)―国民国家を超えて 社会政策の空間(2)―グローバルな社会政策 社会政策の空間(3)―人々の経験 社会政策の古典的視座(1)―自由主義保守主義 社会政策の古典的視座(2)―社会民主主義社会主義 社会政策の現代的視座(1)―フェミニズム 社会政策の現代的視座(2)―アンチ・レイシズムエコロジズム 社会政策研究の展開と課題―現代社会と福祉を考えるために
玉井金五ほか『戦後社会政策論 (講座 現代の社会政策 第1巻) 』明石書店,2011.11 ○内容 日本の社会政策はどのように位置づけられ展開されてきたのか、戦前の歩みから戦後の日本的労使関係や雇用政策、教育・福祉政策の定着を経て、今また大きく変貌し社会問題化している雇用不安や貧困層の拡大まで、日本の社会政策論史を新たに再構成する。 ○目次 日本における社会政策研究の学説史的課題 第1部 社会政策研究の史的系譜(戦前から戦後へ 日本的労使関係の原型論 不安定就業問題 戦後生活保護制度改革史論―無差別平等の原則を基軸に) 第2部 社会政策研究の新潮流(人口論 地域生活と高齢者介護―処遇困難事例と地域包括ケアシステムに焦点をあてて 教育政策論 雇用制度と生活―両者をつなぐ試み)
中川清ほか『生活保障と支援の社会政策 (講座 現代の社会政策 2) 』明石書店,2011.16 ○内容 生活保障と生活支援のあり方と拡がりを、あらためて社会政策として位置づけ展望する巻。公的扶助、公的年金、医療保障、介護保険社会福祉改革、自殺対策、救護施設、障害者の就労支援、ベーシック・インカム、ディーセントワークといった課題を丹念に検証する。