新人医療ソーシャルワーカーへ

就職おめでとうございます。医療ソーシャルワーカーとして仕事を始めると、知っているつもりだった各種制度について、意外に詳細まで自分が知らなかったことに気付くかと思います。また、病気や医療用語、検査データについても「?」が頻出すると思います。 私なりに、新人の頃、手元に持っておいてよかったと思える実用書を紹介します。もちろん、職場の上司からも色々な実用書について教えてもらう機会もあるかと思いますので、自分に合ったものを購入すればよいかと思います。 なお、医療ソーシャルワークの本質や面接技術の向上といった面については、立正大学保正友子先生のHPにある「私が勧めるソーシャルワークの本」「医療ソーシャルワーク論参考文献」を参照ください。 週刊社会保障編集部編『平成24年社会保障便利事典』法研,2012 コメント:社会保障全般について、制度概要・問い合わせ窓口など大まかな内容が掲載されている。学校で習った社会保障制度を実務で活用するために有用。 『診療点数早見表』医学通信社 コメント:2年に1度の診療報酬改定時に必ず購入。診療点数、診療点数の算定要件や施設基準などほぼ全てのルールが掲載されている。疑義解釈や通知も添付されており有用。行政担当者、診療所事務、訪問看護所長との協議時に威力を発揮。※4月下旬に最新刊が発刊予定。 『介護報酬の解釈単位数表編&指定基準編』社会保険研究所 コメント:診療報酬と同様に算定要件や施設基準について掲載されている。疑義解釈や通知も添付されており有用。行政担当者やケアマネからの問い合わせに重宝した。※6月に最新刊が発刊予定。 『週刊社会保障法研,『社会保険旬報』社会保険研究所 コメント:月3-4回、社会保障制度について国会での審議状況や研究者の見解も交えて紹介。「各種制度の詳細まで熟達し、さらにそれぞれの制度をクライエントに組み合わせて提供できるまでに熟達すること」(日本医療社会福祉協会笹岡前会長の言2007.11.27医療ソーシャルワーカー研修初任研修にて) 社団法人全国老人保健施設協会編『介護老人保健施設他科受診の手引き』社会保険研究所,2010 介護老人保健施設 他科受診の手引き 平成22年4月版 コメント:老健の職員でさえ十分に理解しているとは言い難い、老健入所中の他科受診の算定ルールについて大変コンパクト(40頁)にまとめられている。※新年度版が発売予定(発売日は未定)。 透析医療ソーシャルワーク研究会編『腎臓病患者の社会保障ガイドブック』社団法人全国腎臓病協議会,2007 コメント:覚えるまでが大変な腎臓病患者を対象とした複雑な各種社会保障制度や社会資源が整理されて1つの冊子にまとめられている。2010年12月から私も腎臓内科を担当することになり大変重宝している。編者の研究会は地元愛知県で活躍している。 日本医療ソーシャルワーク研究会編『2012年度版医療福祉総合ガイドブック』医学書院,2012 コメント:社会保障全般について、教員とSWが解説。「コメント」「コラム」「ミニ知識」欄には、実務に即した具体的なアドバイスが書かれており有用。2001年から(2005年を除いて)ほぼ毎年改訂されている。 『診療科別患者さんにそのまま見せる!医療福祉相談の本11年度版』日総研,2011 コメント:診療科別に活用が想定される各種社会保障制度について解説。診療科別という点が今までになく、シンプルで使いやすい。初めて係る傷病の患者との面接前に目を通しておきたい。※新年度版が発刊されるかは未定。 『障害年金と診断書(平成23年7月版)』年友企画,2011 コメント:障害年金の申請基準、診断書や申立書の記入例が掲載されており、大変有用。 『生活保護手帳』『生活保護手帳別冊問答集』中央法規,2011 コメント:貧困と疾病の関係は密接であり、貧困問題への援助はSWの原点。 生活保護ケースワーカーと時に協働し、時に闘うためには必須。※新年度版ば毎年発刊されるので要確認。 東京ソーシャルワーク編『How to 生活保護―申請・利用の徹底ガイド雇用不安対応版』現代書館,2010 コメント:生活保護ケースワーカーや病院SWといった、実際に生活保護を運用・活用している実務家が書いた実用書。「生活保護実践Q&A」の章は大変参考になる。1991年が初版で6回の改訂を重ねており、出版から20年の実績がある。 『からだの地図帳』『新版病気の地図帳』『くすりの地図帳』講談社 コメント:人体・病気・薬効についてまず絵でイメージをつかみ、その上で文章を読むと理解が早い。特に『からだの地図帳』は受傷・発症部位を確認するために、今でもよく利用する。 『すぐわかる看護がわかる検査値ガイドブック』医学芸術社,2006 コメント:CRP,WBC,CRE,BUN,PaO2など、退院時期や身体障害者手帳作成の適応を検討するために基準値を知ることは有用。毎回確認することで、だんだんと基準値を覚えることができる。 九州大学医学部附属病院放射線部編『ポケット医学英単語・略語辞典(改訂13版)』南山堂,2011 コメント:LK,MK,UTI,IVHなど、略語に慣れるまではカルテを読むのは大変。インターネットで調べることは簡単だが、「手堅い」辞典で調べることも重要。 A6サイズでコンパクト、机の上に常備。 日本社会福祉実践理論学会『【新版】社会福祉実践基本用語辞典』川島書店,2004 コメント:同学会(現:日本ソーシャルワーク学会)の基本テーマ「社会福祉実践の基礎概念・用語の統一」を形にしてもの。1989年が初版。2回の改訂。社会福祉の専門家として専門用語を使用する際に定義を確認するために有用。197頁とコンパクト。