新刊案内

今日のソーシャルワーカーが行う退院援助に関する質的研究書。ちなみに、小原眞知子『要介護高齢者のアセスメント―退院援助のソーシャルワーク』相川書房,2012.5がその量的研究書か。

【関連】
・新保祐光「利用者と専門職の協働による合意形成――「状況的価値」形成を目的とした退院支援」『社会福祉学』Vol.51,No.4,2011,pp.43-56
・新保祐光ほか「2006年度診療報酬改定後の人工呼吸器装着者受け入れ医療機関の変化―茨城県における調査から―」『医療』vol.62,№2,2008,pp.93-97
https://www.nhocrc.jp/iryo/2008-62-02/62-02jindex.html


新保祐光『退院支援のソーシャルワーク―当事者支援システムにおける「状況的価値」の形成』相川書房,2014.3

○著者略歴
1973年生まれ。1996年東洋大学社会学社会福祉学科卒業。1998年東洋大学大学院大学社会学研究科社会福祉学専攻博士前期課程修了。1998年3次救急医療機関で医療ソーシャルワーカーとして勤務(~2008)。2008年大正大学人間学部アーバン福祉学科専任講師。2012年東洋大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻博士後期課程修了、博士(社会福祉学)。現在、大正大学人間学部社会福祉学科准教授。社会福祉士精神保健福祉士・認定医療社会福祉士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

○内容
ソーシャルワークは、生活主体者として個人を尊重し、当事者の個別化された「よりよい」決定を重視する。そのため最善をはかる基準は、個人によって多様である。本論では、専門職の行動規範としての善い(倫理)とはなにかを検討するのではなく、退院する本人にとっての「よりよい」決定とは何かを検討した。

○目次
  第1章 研究枠組み

 第1節 目的と対象
 第2節 研究方法
 第3節 解決すべき問題の的確な記述と研究の主観的立場
 第4章 研究の視点
第2章 「よりよい」決定にかかわる先行研究
 第1節 当事者-専門職関係
 第2節 「よりよい」決定の先行研究
 第3節 価値の概念定義
第3章 退院支援の決定にかかわる価値システム
 第1節 退院支援にかかわる価値システム検討の意義
 第2節 価値システムにかかわる先行研究
 第3節 研究概要
 第4節 研究結果
 第5節 諸価値の関連の検討
 第6節 退院支援に関する価値システム
第4章 典型例からの直感の磨きあげ
 第1節 研究概要
 第2節 事例検討の目的と事例選択理由
 第3節 事例概要:生命の危機が高かったにもかかわらず,施設へ一時退院した事例
 第4節 事例検討会における討論
 第5節 考 察
 第6節 先行研究との関連
第5章 類型事例の検討に基づく直感の磨きあげ
 第1節 失敗事例,成功事例の検討の意義
 第2節 失敗事例の検討(1),B事例 -白血病告知後の療養生活に関する事例-
 第3節 失敗事例の検討(2),C事例 -自殺企図をきっかけに離婚となった事例-
 第4節 失敗事例検討の小括
第5節 D事例
 -神経難病による人工呼吸器装着後の生活についての決定を支援した事例-
 第6節 E事例
 第7節 成功事例と失敗事例の検討に基づく直感の磨きあげ
第6章 磨き上げられた直感の有用性の検討
 第1節 直感の有用性の検討
 第2節 有用性の承認と今後の課題