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昨日は、第11回愛知県医療ソーシャルワーク学会でした。運営委員として、無事終えることができ安堵しています。昨晩はやはり興奮しているのかなかなか眠れませんでした(笑)打ち上げでは、次回学会での色々な取り組み案について話が盛り上がりました。

まずは、今回の学会で見つけた課題を次回改善できるよう取り組みたいと思います。学会で1つ言えることがあるとすれば、多くのMSWが自分以外のMSWの実践を聞きたいと欲しており、ベテランのMSWがその実践のあり方について話す場が大切であるということ。学会という場が、それらのことがらを満たす適切な場なのだと再認識ました。5月の総会で優秀演題を発表して今季の運営委員は終了。2ヶ月後の7月は来季の学会準備が開始となります。

学会中、退院調整加算1の算定について、各地域の3次救急指定医療機関ソーシャルワーカー部門責任者にお話を聞いて回りました。一番印象に残ったことは、病棟で専従配置となることから外来業務ができなくなるということ。これから機能分化は地域だけでなく院内でも発生し、一人の患者について入院以外の療養支援を担当するMSW(A)、退院支援を担当するMSW(B)に別れることになります。

これはちょうど前回の回復期病棟の体制強化加算が創設された際に、専従の医師と社会福祉士が外来業務をやれなくなったことと同じ構造です。平成28年度診療報酬改定では、この条件が緩和された体制強化加算2が創設され、単価は下がるが届出医師も外来診察などを再び行えることになります。

専門分化することが患者のためになる側面もありますが、こと相談援助業務についていえばクライエント・ワーカー関係の相互作用を活用する側面が強いことから、急性期病院での入院とそれ以外で職員を分けると十分な援助効果が発揮できないことが予想されます。しかし、紺診療報酬改定が全国で社会福祉士が増える「追い風」になるきっかけになるのも事実です。我々が今後も続く診療報酬改定を受けても援助の質を落とさない職員教育・管理方法が問われているのだと思いました。

そんなことを考えていたら、ちょうど昨日の朝日新聞の記事「(フロントランナー)フィナンシャル・タイムズ米国版編集長、ジリアン・テットさん 社会人類学から経済記者へ」2016年2月27日で本書を知りました。早速、今朝本屋に買いに行き読み始めています。

ジリアン・テット(土方奈美 訳)『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』文芸春秋,2016.2.24


○内容
文化人類学者から転じたフィナンシャルタイムズアメリカ版編集長が、「インサイダー兼アウトサイダー」の視点で、鮮やかに描き出す、現代社会を捉えるもっとも重要なコンセプト。高度に複雑化した社会に対応するため組織が専門家たちの縦割りの「サイロ」になり、その結果変化に対応できない。その逆説を「サイロ・エフェクト」という。

○目次
序章 ブルームバーグ市長の特命事項
第1章 人類学はサイロをあぶり出す
第2章 ソニーたこつぼ
第3章 UBSはなぜ危機を理解できなかったのか?
第4章 経済学者たちはなぜ間違えたのか?
第5章 殺人予報地図の作成
第6章 フェイスブックソニーにならなかった理由
第7章 病院の専門を廃止する
第8章 サイロを利用して儲ける
終章 点と点をつなげる