「施設から住み慣れた我が家へ 第3回富山・在宅復帰をすすめる研究会開催」『介護保険情報』2006.7,pp.94-95

7/24yasmatsu氏より受け取る。 本年5月27~28日に富山市内で開催された、「第3回富山・在宅復帰をすすめる研究会」の参加レポート。同研究会の趣旨は、「介護保険施設に入所中で、在宅復帰を希望する方の在宅復帰の方法を研究し、在宅介護の推進を図」(p94)ることだそうだ。なお、同研究会の存在は、以前取り上げた論文の著者である難波氏より情報提供頂いて、初めて知った。仕事の都合がつかず、結果的に参加できなかったため、当日の様子が分かって参考になった。 同研究会会長である国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁教授が、老健の支援相談員についてコメントしていたので以下の通り紹介。 「家族アプローチにおける問題点として、相談員が利用者・家族の在宅復帰意向を作り出す役割を行っていないことを指摘した。入所早期に本人および家族と信頼関係を構築すること、ADLの見通しが立ってきたら在宅での介護負担ゼロのケアプランを提示すること、利用者本人、家族それぞれの退所不安要因へのアプローチが必要なことなどについて解説があった。」(p94) 「今回は支援相談員の発表が多かったことを評価し、在宅復帰は相談員がイニシアチブをとらないとすすまないとした。相談員が家族へのアプローチを行い、介護職は本人の自立性の回復を目指すことで在宅復帰という車は倒れないで走っていくと語った。」(p95) また、次のモデル事業が興味を引いた。7/25早速富山市福祉保健部介護保険課へ同事業報告書の送付を依頼。国内でも、色々な取り組みがなされているんだなー。 「富山市が行った『施設入所者在宅復帰支援モデル事業』での3年間の取り組みの結果報告も。モデル事業では、77事例の検討を行った結果、27名が在宅復帰。事例を通して、関係者が在宅に帰した経験がないこと、家族との人間関係の構築ができていないこと、ワーカーの役割が施設の中で明確になっていないこと、といった点が明らかになったとした。」(p95) 【コメント】 レポートから読み取る支援相談員への役割期待は、在宅復帰に向けて、特に家族へアプローチしていくことであると読み取れた。例え忠告であっても、支援相談員に関する文章が少ない現状にあってはありがたいご指摘である。但し、「在宅での介護負担ゼロのケアプランを提示」するという目標自体は理解できるが、やや理念的過ぎるのではないかと気になった。