MSWサマリーについて

転院問題を考える会が、同会HPに07年度医療社会事業学会時に開催した自主企画「転院問題のつどい」報告を掲載している。 同報告書の中で、「現在会として行っていること」のくだりに大変重要な1文が掲載されていたので取り上げておく。 ・「MSW から次の MSW へのサマリーが渡されていないのではないか。転院の仕事はいろいろと大変ではあるが、MSW の仕事になっていないのではないか。つまり、人を品物のように移す仕事のようなことをしていないか。本来の MSW としてやれる仕事として、サマリーをきちんと相手病院のMSWに渡す事が必要と考え、どのような項目が必要か検討を始めている。」(『転院問題のつどい報告書』最終ページより引用) 【感想】 私の勤務している老健でも、上記報告書と同様の問題意識からMSWサマリーを作成するようになった。FileMaker Proにて作成しており、基本情報はデータベースから自動で転記され、プルダウンメニューを使用し入力の効率化を図っている。内容や作成条件、作成宛先の範囲など、まだまだ課題は山積しているが、重要な第1歩を踏み出したのは確かだ。 もはや、MSWサマリーを書かない理由として「忙しい」というのは逃げ口上でしかない。サマリーを作成している他職種は暇だから作成しているのではなく、患者が切れ目のないケアを受けるために必要だから作成しているのである。0からサマリーを書こうとするから、しんどいのであって、定型書式があればしんどさはいくぶんか軽減できる。何よりも、定型書式を関連機関内で協議して作り上げ、それに必要事項を書き込んでいく作業に慣れるところまでもっていくことが、初期段階の獲得目標であろう。そのためには、なぜMSWサマリーを作るのか、その目的をしっかりと共有することが大切である。 そして、次の段階として出来上がった定型書式をその後適宜修正し、より現状にマッチしたものにしていく作業を怠らないことが、MSWサマリーが本来業務として定着する鍵となるであろう。なぜ、サマリーが必要なのか、それを外部に向けての文章を書き慣れないMSWに理解してもらうことは並大抵のことではない。 恐らく、MSWサマリーを作成する流れは、各医療機関にMSWが配置され始めている現状を反映して、近い将来MSWの本来業務の1つとして位置づけられることとなるであろう。そして、MSWの書く文章が外部・他職種にさらされることを経験して、必要に迫られる形でMSWの文章レベルは向上し、MSW間の共通言語も増えるものと思われる。「必要に迫られる」という動機付けは大切である。