自宅か施設かという悩みについて

入院後、病気やそれに伴う廃用症候群日常生活動作能力が低下。患者さん本人だけでなく、日常生活で影響を受けるご家族も、今後の療養場所についてとても悩まれます。特に患者さん本人の判断能力が低下している場合、ご家族は代行して判断しなくてはいけないので、責任も重大です。 お話を伺うと、療養場所として自宅か施設かで悩まれていることが少なくありません。時に「自宅=最後まで自宅で看なければいけない。でもそれはとても無理…」という思いを持たれているご家族がおられます。「自宅で看てあげたいけれど今の生活に加えて本人の面倒を看るだけの余裕がない…。かといって施設に入所させるのは本人の希望でもないし可愛そう…。」こういった葛藤に苛まれている様に思います。そのため面接場面では、まず自宅か施設かという二択の枠組みを「外す」お手伝いをします。 具体的には、今の段階で自宅か施設かを決めてしまうのではなく、自宅で看られるうちは看て、病状や日常生活動作能力の悪化・進行に伴い看ることが限界だと思ったら施設あるいは病院に移るという選択もあることを提示します。同時並行で必要に応じて在宅サービスや施設・病院について情報提供し療養方法や療養場所についてイメージを持ってもらうお手伝いをします。自宅が「0」、施設が「1」とした場合、「0」か「1」かで悩むのではなく、「とりあえず」自宅という「0.5」の考え方もあることをお伝えすると一定の方が、「ああ、何だ。そういう方法もあるなら、気負わずに自宅で看れそうです。」とおっしゃられます。どうしても、入院中という短い時間の中で療養場所について選択をしなくてはいけないので二択で考えがちですが、そういった切羽詰まった状況だからこそ、私はあえて時間軸で考えてもらえるよう枠組みの変更を促します。 無論、個々の家庭における家族関係や経済状況、地域の社会資源によって事情は変わってくるため、医療ソーシャルワーカーはその事情を個別に伺いながら、どういう療養方法や療養場所が最適なのかを一緒に考えます。